BLOG

奥深い「扇子」の世界

先日の着物の写真の帯が見たいというお声をいただきましたので、そのお写真と、柄に触れたいと思います。

先日締めた帯の柄は「扇面(せんめん)」です。扇の中には、梅や菊などがあしらわれており、季節問わずに締められる袋帯です。こちらの帯は金糸も用いられておりますが、あまりキラキラせず控えめなので使いやすく気に入っています♡

扇子は、広げたときの形状が末広がりであることから「末広(すえひろ)」とも呼ばれ縁起の良いものとされおり、着物や帯の柄にもよく用いられます。

ちなみに扇子は日本で独自に作り出されたものであることをご存じですか?団扇が中国から伝わったのですが、日本人はそれを折り畳めるようにしたのです。すごいですよね。

高温多湿の日本では、涼を呼ぶ扇は生活に欠かせないものでした。また扇で風を起こすことで邪気を祓っていたともいわれています。昔から日本人の生活には欠かせないものだったのですね。

今私が使っている扇は、茶道のお稽古で使う茶扇(ちゃせん)と夏に使用する夏扇(なつせん)です。いずれも紙を貼ったものですが、舞踊などで使われる舞扇(まいおうぎ)、和装婚礼衣装に使われる祝儀扇(しゅうぎせん)など涼を呼ぶ以外の目的のものもたくさんあります。

紙以外にも檜の薄板を絹糸で綴じ合わせた檜扇(ひおうぎ)は儀式などで使われ、毎年5月に京都で行われる葵祭の斎王が大変立派な檜扇を手にされていますので、機会がありましたらぜひご覧になってくださいね。

また日本の皇室では儀式や行事のときに、女性皇族の方は洋装に扇子を持たれています。日本の伝統芸能の世界では、扇子を前に置いてお辞儀をすることは相手や大切なお道具に敬意を表すことであり、神聖な結界を設けるという意味があります。よって服装が和装から洋装に変わった今も扇子をお持ちになることは正式な装いであるということをあらわしています。

一方ヨーロッパでも17世紀の女性貴族が扇子を手にしていたそうですが、こちらでは少し目的が変わり、会話をするときに口元を隠したり、また意思表示をする道具として恋の駆け引きなどに使っていたそうです。

そういえば私の大好きなタカラヅカでも、ショーやフィナーレで豪華は羽の扇が度々登場します♬

時代とともに、そして国によって形や用途を変える扇、奥が深いです^^

関連記事

PAGE TOP