魚は尾頭付きよりも切り身の方が調理もしやすく食べやすいので、日常の食卓には切り身がよく登場します。
しかしお祝いの席などでは尾頭付きの魚がつきものです。それはいったいなぜでしょう。
その理由は、お祝いの席では切ったもの、割れたもの、壊れたものは不完全で縁起が悪いとされてきたからです。なので、魚は切り身ではなく、頭も尾もついた生きていた時の姿(完全な姿)の方が縁起が良いので、尾頭付きの魚はお祝いの席での常識となりました。
またその縁起が良い尾頭付きの魚をお皿に乗せるときは、頭が左、尾が右にするのが作法。
その理由は2つ。1つ目は、本来日本は左側を上位とする文化でした。なのでそれにもとづき大事な頭は左側となりました。もう1つは、頭を左に盛り付けた方が食べやすいという実用的な理由です。これに関しては西洋料理も同じで、フォークとナイフを使って尾頭付きの魚を食べるときも、フォークで頭を押さえながら右手のナイフでほぐすとスムーズに食べることができるからです。
マナーの成り立ちは少々違えど、世界で共通項があることはなんだか微笑ましいですね。しかしマナーやしきたりは「郷に入れば郷に従え」ですので、形だけを覚えるのではなく、成り立ちや意味を理解した上で実践することが本来のマナー。ぜひ心を伴わせてくださいね。