ちょうど今ごろの季節に、夜に空を見上げると雲や霧でぼんやりと霞んだお月様が見られます。このようなお月様を朧月(おぼろづき)と言います。
「おぼろ」とは、「はっきりしない様子」などの意味があり、「朧気(おぼろげ)」なども同様です。
きものの染めにも「おぼろ染め」という技法がありますが、ぼんやりとしたぼかしが大変美しい幻想的なきものです。
ちなみに朧月夜(おぼろづきよ)とは、朧月が出ている夜のこと。幻想的で神秘的な情景が目に浮かぶ「朧月」と「朧月夜」は春を表す季語です。俳句や短歌にもたびたび使われ、源氏物語には朧月夜という名のお姫様が登場します。
春と言うと、桜など花が咲き誇る様子を想像しがちですが、夜は空を見上げ朧月で春を感じるのも風情があってよいのではないでしょうか。