― お彼岸と仏教のお話 ―
秋のお彼岸の頃、道端や田んぼの畦を鮮やかな赤で彩る彼岸花。
先日、季節の移ろいを感じながら歩いていると、美しく咲く彼岸花に出会いました。

毎年、お彼岸の頃になるとすっと茎を伸ばし、一斉に花を咲かせる姿を見ると、「今年も秋がやってきたなぁ」と感じます。
そもそも「彼岸」とは?
「彼岸(ひがん)」は、もともと仏教に由来する言葉です。
私たちが暮らす、迷いや煩悩のある世界を「此岸(しがん)」、それを越えた悟りの境地を「彼岸」と表します。
日本では春分・秋分の日を中心とした時期に、ご先祖を偲び、お墓参りをする「お彼岸」の習慣が根づいてきました。
自分自身の心や日々の行いに、静かに目を向ける時でもあります。
彼岸花のもう一つの美しい名前「曼珠沙華」。
彼岸花には数多くの別名がありますが、その中でもよく知られているのが「曼珠沙華(まんじゅしゃげ・まんじゅしゃか)」です。
「曼珠沙華(曼殊沙華)」という言葉は仏教の経典にも登場し、天上に咲く花を表す言葉として知られています。
お釈迦様が説法をされた場面を描く仏教経典には、天から美しい花々が降ったという表現もあります。
ただし、経典に登場する「曼殊沙華」が、現在私たちが彼岸花と呼んでいる植物そのものだった、と断定できるわけではないそうです。
仏教から伝わった美しい言葉が、後に日本で彼岸花の別名として定着していったと考えると興味深いですね。
何気なく目にしている季節の花も、その名前をたどってみると、昔の人々の暮らしや信仰、季節への思いにつながっていることがあります。
秋のお彼岸に咲く彼岸花。今年はその鮮やかな花を見かけたら、少し足を止めて、季節の移ろいを感じてみてはいかがでしょうか。
季節の花を知ることも、日本の文化を楽しむ小さな入り口です。

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